ある日の風景

勤務先の中学校で、毎年、印象的な窓からの風景があります。
偶然、勤務日と合格発表の日とが毎年重なっていたこともあり、面談の合間に、ふと相談室の窓から外を見ると、受験の結果を知らせに向かう子どもたちの姿が見えます。

友達と一緒に何やら話をしながら、報告場所へ向かう生徒。笑顔一杯、少し足早にその場へと向かう生徒。やや足取りが重く、うつむき加減にその場所へ向かう生徒。戸口の少し前で、ちょっとだけ立ち止まり深呼吸をしてその場所へ入っていく生徒。
ひとりひとりの表情を見ていると、それぞれの思いが何となく、それでいて、ぐ~っと伝わってきて、その笑顔にも、その涙にも、ひとりひとり、唯一無二の物語があるのだろうなあと思いが巡り、心の中で自然にエールを送っている私がいて、毎年のその風景が、とても印象深く、心に刻まれています。

さて、遥か遠い昔になりますが、ちょうど合格発表が終わり、卒業を迎えるこの時期に、久しぶりに相談室を訪ねてきた生徒がいました。彼女は、私の顔を見ると「もうすぐ卒業なんだ」と、嬉しそうな、寂しそうな、でも、まっすぐと私を見て、どこか決意も感じられるような表情で言ったのでした。それ以上、言葉は続きませんでしたが、私は何かそれで充分というのか、それ以上何も言葉がいらないというのか、そんな気持ちでした。

自分の思いや考えを言葉にして表現することは、とても大切なことです。けれども、時にそれがとても難しく感じられる時があるなぁと思います。皆さんは、どうでしょうか。

カウンセリングは対話を通じて行うので、一般的に、全ての思いをこの場で吐き出さないといけない、言葉にして表現しなければならない、そうしないと問題が解決しないのではないか、という風に捉えられることがあります。

でも、実際は、必ずしも思いの全てを言わなくてはならないという場ではありませんし、全ての思いを吐き出さなくても、心の問題は解決される場合も多くあります。

話したいなぁと思うことを話し、話したくないなあと思うことや、今はまだ言葉にならない思いは無理に言葉にしなくてもいい。そんな風に、無理なく自然で、自由な心の状態が大切にされることが、心の問題を解決していく為の近道となることが多いようです。

Ohkusa Psychotherapy Educational counsel Network Laboratory
大草心理臨床・教育相談室 ”お~ぷん・ラボ”

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