完璧主義は良くない、無理はいけない、は本当でしょうか?

完璧主義は良くない、無理はいけない、は本当でしょうか?

 常識のように、完全癖はよくない、無理はよくないと、殆どの人が言います。「完璧にはできないのだから、ほどほどにしなさい」「無理をせずに、気楽にしなさい」は、精神科医やカウンセラーの常套文句のアドバイスです。やっても成就するはずのない徒労や無理な頑張りが不適応の原因であるということが前提になったアドバイスです。この前提は、当然のことのように思えるかもしれませんが、よく考えると変です。なぜなら、世の人間で完全を目指さない人がいるでしょうか。物事に取り組む時には、誰もが完璧を目指そうとします。例え果たせぬことと分かっていても、無理して頑張ることは、殆どの人がしていることではないでしょうか。もし、完璧を目指すことや無理な頑張りをすることが不適応の原因になるのであれば、一流を目指して過酷な練習やトレーニングを自らに課すアスリートや、プロジェクトX (NHKの番組名)で描かれているような、艱難苦難を乗り越えて前人未踏の成果を成し遂げる人は皆、心の不健康や不適応者になっていなくてはならないはずです。ですが、そういった人達は、むしろ心の不健康とは真逆に、すこぶる心の健康さを持った人達です。

 最初から完璧を目指さないかかわりをする人や、無理でも頑張ってみることを端から諦めている人を、いい加減な奴とか、手抜きする怠け者とかいいます。ということは、精神科医やカウンセラーが悩んで苦しんでいる人への助言だと思っていても、、それを聞く側は、いい加減な人間になりなさい、手抜きをする人間になりなさいと勧められているようで、到底受け入れがたい抵抗を感じるようです。こんな助言をされた、律儀で真面目でキチンとしたことを志そうとしている人は、自分がしたくもない、むしろ回避したいことを、しなさいと勧められて、精神科医やカウンセラーの少しでも楽にしてあげようとする意図とは逆に、さらに困惑し疲弊していくことが珍しくありません。

 こんなことからも、完璧を目指すことや、無理な頑張りは、誰もが自然に当然のこととしてやっていることで、それが心の不健康で不適応の原因になっているとは到底思えません。心が不健康になる原因は、そんなところにあるのではなさそうです。完璧主義の人や無理する人が陥りやすい落とし穴のようなものがあって、それに留意してさえいれば完璧主義や無理することは、何の問題もありません。何に留意すればいいのかは、読み進めばわかると思います。

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